一筆☆啓上

観た映画、読んだ小説の印象を綴ります

映画「さ」行

映画「ジャイアンツ」(1956)

年明け最初に鑑賞する映画として、普段はどうしてもためらいがちな長尺のものを観ようと思い、かなり前にビデオを借りた記憶が残るのみで、内容自体はすっかり忘れてしまった本作をチョイスした アメリカ南部テキサスに広大な土地を所有する牧場主が東部出身…

映画「心中天網島」(1969)

演出、撮影、美術、音楽。あらゆる面において豊かなイマジネーションを感じさせ、近松門左衛門原作の古典芸能と前衛的アプローチとを巧みに融合したハイブリッドな映像からは篠田正浩の才気がヒシヒシと伝わってくる意欲作だ 大阪天満の紙屋主人・治兵衛は妻…

映画「清作の妻」(1965)

本作を監督した増村保造に対し、私は「愛とエロス」を撮るフィルムメーカーという勝手なイメージを抱いていたのだが、その思い込みを見事に覆される重厚にして深遠な人間ドラマだった。でもよく考えてみれば、この映画の根底にあるのはひとりの女のエゴイス…

映画「仁義」(1970)

原題の"Le cercle rouge"は異なる人生背景を持つ者同士が「紅い輪」の中で必然的に出会うという、ブッダの言葉に由来する。メルヴィルの書いた脚本は当然ながらこのタイトルに則っており、劇中で主人公がビリヤードキューの先端を拭いた際に紅い円が強調され…

映画「地獄の黙示録 特別完全版」(2001)

「地獄の黙示録」オリジナル版が劇場公開された当時中学生だった私は、映画マニアやミリタリーマニアの級友らがを本作を象徴するヘリコプターでの襲撃シーンの凄さを口角泡を飛ばしながら語っていた姿をよく覚えている ヒロイックなワーグナーの音楽をバック…