一筆☆啓上

観た映画、読んだ小説の印象を綴ります

2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「野生の棕櫚」フォークナー 著

小説におけるオールタイムベストに「八月の光」を挙げている私は、その著者フォークナーの文庫最新刊に当たる本作の発売を楽しみにしていた ミシシッピ州に属す架空の街(ヨクナパトーファ郡)を舞台に、様々な登場人物たちの人生が交錯するサーガ形式であっ…

映画「aftersun/アフターサン」(2022)

台詞に頼り過ぎず、流れのなかで観客のイメージを喚起するように企図された映画脚本こそが理想と考える私にとって、この「アフターサン」はかなり好みに近いカタチと言える 思春期を迎えた娘ソフィとその父親カラムのひと夏のふれあいを描いたストーリーは主…

映画「めし」(1951)

以前にも当ブログ内の記事に書いたのだが、私はいままで小津安二郎の作品をただの一本も観ておらず、それゆえ、彼にとっての「ミューズ」とも言える原節子については殆んど予備知識を持たなかった 夫との関係に倦み、淡々とした味気ない結婚生活に身も心も疲…