一筆☆啓上

観た映画、読んだ小説の印象を綴ります

映画「か」行

映画「鞄を持った女」(1961)

ズルリーニの映画は昨年「激しい季節」を鑑賞しており、その際に本作もリストへ登録した。両者とも年上の未亡人に恋心を抱く青年を描いたものだが、同じくズルリーニ演出で以前より観たいと思いながら未だ願いが叶わずにいる「高校教師」の内容も、アラン・…

映画「カード・カウンター」(2021)

監督・脚本を務めるポール・シュレイダーの最新作「カード・カウンター」は、タイトルから連想される通り、「ハスラー」や「シンシナティ・キッド」(劇中の台詞で両者に言及される場面あり)の系譜に連なるギャンブラーものだが、それらとやや趣を異にする…

映画「禁じられた情事の森」(1967)

カーソン・マッカラーズが著した「心は孤独な狩人」の高い完成度には唸らされた。そこで今回はその天晴な処女作に続き、彼女が筆を執った「黄金の眼に映るもの」の映画化作品を改めて鑑賞することにした アメリカ南部の陸軍兵舎。レオノーラと同性愛者の夫ウ…

映画「クラッシュ」(1996)

クルマの運転とセックスの関連性についてはしばしば取り沙汰されるが、様々なテクニックを用いて相手と一体になり、気持ちの昂ぶりによってエクスタシーを得るところなどは確かに共通しているのかもしれない 本作の内容もまたクルマの運転とセックス、双方の…

映画「鉄輪」(1972)

自分を捨て後妻を娶った元夫への嫉妬と恨みから鬼と化す女を描いた能の演目「鉄輪(かなわ)」を原案に、平安時代と現代とが巧みに交錯するストーリーは、男女の性愛シーンがふんだんに盛り込まれ、まるで前衛的ポルノグラフィのような趣を感じさせる 中年男…

映画「クルーシブル」(1996)

数々の秀作を監督したエリア・カザンがアカデミー賞の式典で名誉賞を贈られた際、俳優のリチャード・ドレイファスやエド・ハリスがそれに反対する姿勢を見せたのは記憶に新しい。かつてカザンは、ハリウッドを含めてアメリカ中を席巻した「赤狩り」において…